ワイン講座Ⅱ
これを読めばあなたもちょっとうんちくが語れる!
イタリアワイン編
イタリアワインの分類(概要)
フランスワイン編でも少しだけお話ししましたが、イタリアワインの分類もフランスワインに似ています。実はこのイタリアワインはワインの歴史からすれば、フランスワインよりずっと古いのです。イタリアワインの分類の制定は確かにフランスより新しいのですが、だからこそまだまだ楽しいワインが眠っているのでは、などと考えるのはいかがなものでしょうか?
そのイタリアワインも産地で分けられています。これらを原産地呼称管理法といいます。つまり、一つのワインを法的に格付けし、その名前を名乗っていいかどうかを格付けすると言うことです。その格付けは、大まかに下からVino Da Tavola(ヴィーノダターボラ)、IGT、DOC(ディノミナッツイオーネ・ディ・コントロラータ)、DOCGの4種類に分けられます。ただ、この格付けは厳密に行われているとは言えず、隠れた銘酒が格下のワインにあったりするのもイタリアワインの楽しいこところです。これらもイタリア人の楽天的で明るい人種がもたらしたものでしょうか。確かにこれらの格付けを制定したのは、1963年頃とフランスに比べて30年ほど遅かったのですが、それだけの理由で格付けが緩いのではなく、スーパーヴィーノダターボラなどといったように、超美味しい地酒が隠れていたりもするのです。あくまでも、その地方でその産地の葡萄だけを使ったワインである、位の簡単な分類と考えればよいのではないでしょうか。
また、DOCGワインの上にRiserva(リゼルヴァ)と呼ばれるもので法的に定められた期間以上の熟成を経過したものを意味するものなどがあります。
※Bianco(ビアンコ)白ワイン、Rosso(ロッソ)赤ワイン、Rosato(ロザート)ロゼ、Spumante(スプマンテ)発泡性 ワイン
イタリアワインの分類(葡萄品種編)
歴史も古いイタリアワインですが、だからこそと言っていいほどにワイン作りに欠かせない葡萄の品種も大きな違いがあります。また、この違いがワインの味としてのフランスとイタリアの大きな違いといっていいのではないでしょうか。
赤ワイン用の品種にはネッビオーロ種(バローロ、バルバレスコ)、サンジョベーゼ種(キャンティ、ブルネッロ)、モンテプルチヤーノ種(町の名前でもある)、サンジュヴェート種、ドルチェット種、バルベラ種、コルヴィナ種(ヴァルポリチェッラやバルドリーノ)、ロンディネッラ種(ヴァルポリチェッラやバルドリーノ)、などがあります。
白ワインの品種には、トレッビアーノ種(イタリア白ワインの主たる品種)、ガルガネーガ種(ソアーベ)、グレケット種、プロセッコ種、などなあります。
単に品種の紹介だけでしたが、フランスワインの項でも言いましたとおり、以外とこの品種で好みが決まってくるようです。参考までに覚えておいてもいいでしょう。いろんなワインを飲んで、また機会があったらこれを読んでみてください。きっと、自分の好みが品種で偏っているのが見られるかも知れません。
また、70年後半からは、フランスの品種であるカベルネソーヴィニオン種、メルロー種、シャルドネ種などを取り入れ個性的で大胆なワイン作りも盛んになってきています。歴史や慣習にとらわれない楽天的なイタリア人の思考がこのへんでもうかがえます。
イタリアワインの分類(主要産地編)
さて、イタリアといえば昔地理でお勉強したとおり、長靴(ブーツ)の形をした国です。有名なワイン処を最初に3つ覚えて下さい。この3地区はつま先でなく、ブーツの入れ口?あたりからふくらはぎあたりに集中しています。北からピエモンテ州、ヴェネト州、トスカーナ州があります。確かにもっと産地はあるのですが、詳しくは後ほどお話しすることにして、この3地区を覚えてみて下さい。
ピエモンテ州には、代表格としてイタリアワインの王と呼ばれる、「バローロ」があります。トリノの南、バローロ地区のネッビオーロ種から作られるこのワインは、ワインの王らしくタンニンが強い、雄々しい赤ワインです。また、近隣にはバローロより少し軽めの赤ワイン、「バルバレスコ」もあります。また醸造の行程で寝かせる期間はバローロが最低3年、バルバレスコは最低2年といったように品質管理に努めています。
ヴェネト州の首都は言わずと知れた「ロミオとジュリエット」の舞台で知られるヴェローナの街です。ここは、イタリアの白ワインの代名詞、「ソアーベ」の産地です。この「ソアーベ」はいわゆる辛口(スペリオーレ)です。ここで、白ワインの話が出たのでお話ししますが、イタリアワインは全体的に白ワインについてはさっぱりした辛口が多いようです。これはたぶん、イタリアは海に囲まれているため、海産物が多くそれに合うワインとして辛口の白が多くでき上がったような気がします。また、それを示すかのように、魚の形をしたボトルに入った白ワインや、海産物をラベル(エチケット)にあしらったものが多く見られます。
また、赤ワインでは、まろやかな軽めの「ヴァルポリチェッラ」や、これもフレッシュで軽めの「バルドリーノ」などを産しています。またこの3銘柄は、ヴェネトを代表する三大銘柄といっていいでしょう。
ヴェネトのワインのお話をしてきましたが、「ロミオとジュリエット」の話には、ほど遠い「辛い」だの「軽い」だのおよそふさわしくない様なワインの紹介でした。しかしながら、あるのです。この二人の恋のように甘い甘いお話が。
ソアーベは、辛口の白ワインだとお話ししましたが、「レチョート・ディ・ソアーベ」という蜜のように甘い甘い白ワインもあるのです。このワインは葡萄を約4ヶ月、半乾燥して水分を取り除き、甘い部分だけを絞って作ったワインです。フランスの貴腐ワインに対抗した手法に思えますが、これはイタリアの古くからのワイン作りの手法です。この甘いワインで、きっとロミオはとりあえず満足したかな?(なんちゃって!)
これと似たように、赤ワインでは、「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」という、これも、古くからの製法(アマローネ)で作られる重厚で華やかな赤ワインがあります。単に「ヴァルポリチェッラ」の高級版と呼べないこともないのですが、製法は全くと言っていいほど違い、葡萄は半乾燥に耐えうるカビの出にくい古木に実を付けた葡萄だけを使い、最低4ヶ月以上の乾燥を行います。そして、果汁を絞ります。また、発酵前にその果汁を煮詰めてワインの凝縮度、濃度、深みを与えるわけです。こうした、古い製法で作られるワインがあるのもヴェネトの楽しいところです。この重厚で華やかなワインで、きっとジュリエットは満足されたに違いありません。僕もこれで「ロミオとジュリエット」の重厚で熱い熱い、甘い甘い恋のお話とワインをつなげられたので、とりあえず一安心です。
トスカーナ州には、たぶんイタリアワインでは一番知名度の高い「キャンティ」があります。夙(つと)に入ったワインを見たことがありませんか?よく昔、お歳暮や結婚式の引き出物で使われたあのワインです。このワインはサンジョベーゼ種をメインにカナイオーロ・ネーロ(赤)やトレッビアーノ種(白)などを加えて万能なワインに仕立てた形になっています。魚にも肉にもあう重宝なワインとして絶大な支持を得ているのもキャンティです。あまりに種類の豊富(600種)なキャンティは、中には非凡なものもありそれに出逢わずしてキャンティに判断を下す人もいるとか?奥深いワインの一つです。
また、トスカーナ州にはピエモンテ州のワインの王「バローロ」に対するようにワインの女王と呼ばれる「ブルネッロ」があります。これはサンジョべーぜの亜種から作られ、とてもタンニンが強く、フレーバーに満ち、寿命も長く最低4年の熟成を経て出荷されます。また、5年以上寝かせた物はレゼルバと呼ばれます。
トスカーナには、紹介した以上に名手と呼ばれる作り手や有名なワインが多い地方です。さしずめワインの宝箱(下※)というところでしょうか。
※ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ等
イタリアワインの分類(その他産地編)
以上、3つの産地をお話ししましたが、ロンバルディア州、エミリアロマーニャ州、ウンブリア州アブルッツオ州(モンテプルチアーノ)フリウリ州(ピノ・グリージョ)などまだまだたくさんの地方があり、紹介しきれないところです。興味をお持ちの方は、お勉強してみてください。
さて、こうしてお話ししてきましたイタリアワイン。内容の深さに驚かれたと思います。僕自身も最初はさほどでもないと考えていたのですが、イタリアワインの奥深さを再度認識させられました。
ピザはよく食べるけど、イタリアワインは飲んだこと無いのが普通ですよね。でも、今度は友達と家族と恋人とピザを食べるときには、是非イタリアワインを一緒におためしあれ。魚介類がトッピングなら辛口の白ワインでも。(キャンティなどは白も入っているので万能ですが。)肉類がトッピングなら、やや重めの赤ワインを。
そして、「イタめし」屋にいったらグラスワインでもいいです。お試しあれ!こだわっている店ならそれなりの相性の良さがあり、普段食べるだけのイタリア料理にワインが加わることで食べることと飲むことのすばらしさがわかることでしょう。
最後に僕にとってワインは「一期一会」です。お店で選んで買うワインはたとえ500円の物でも、楽しみに楽しみに抜栓します。そして、エチケット(※瓶のラベル)と向き合いながらテイスティングです。値段以上の味がしたり、自分好みの味だったらそれはもう、嬉しさひとしお。また飲みたくておみせにいってもそのワインが無くなっても、ヴィンテージが変わってまた出逢ったりする。またそのときの嬉しさと、そのヴィンテージの味の感じ方の違い。
いつもワインとは「一期一会」でありたい。そう思うのです。
ワインブームが去りながらも、これだけの参加をいただきありがとうございました。
また、このワイン会をきっかけにワインに好きなあなたとお会いできればと思っています。きょうはたのしくのみましょうね。
Jul1999 ○○○.○○○ 玉姫殿にて
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